家電製品のなかには、不要になった場合にリサイクルすることが求められている「特定家庭用機器」に指定されている製品があります。テレビもそのひとつ。特定家庭用機器は、法律に則った正しい方法で処分しなければなりません。この記事では全国で利用可能なテレビの処分方法を紹介しています。テレビの買い替えや処分をお考えの方は、ぜひ読んでみてください。

 

テレビはリサイクル対象品目の特定家庭用機器

書き出しで紹介したように、テレビはリサイクル対象品目の特定家庭用機器です。テレビのほかには冷蔵庫や洗濯機、エアコンが特定家庭用機器に指定されています。不要になった特定家庭用機器は、すでに定められているルートを通して製造業者に戻さなければなりません。粗大ごみとして処分することはできないのです。

 

このテレビはリサイクルの対象？

家庭用テレビのほとんどがリサイクルの対象ですが、一部の特殊なテレビはリサイクルの対象に含まれていません。現在、家電店で数多く販売されている有機ELテレビは最近までリサイクルの対象ではありませんでしたが、2024年4月からリサイクルの対象に含まれました。

以下のテレビはリサイクルの対象です。

・ブラウン管式テレビ

・液晶／有機EL／プラズマ式テレビ

・チューナー分離型テレビ

・HDD／DVD等内蔵テレビ

・ブラウン管式VTR内蔵テレビ

・ラジカセ一体型テレビ

昭和の名残的なテレビも含まれていますね。これらすべてがリサイクルの対象です。一方、以下の製品はリサイクルの対象ではありません。

・バッテリーを使用する液晶／有機EL式テレビ（車載用テレビや携帯テレビなど）

・ディスプレイモニター（ブラウン管式や液晶／有機EL式モニター）

・プロジェクションテレビ

・壁組込タイプの液晶／有機EL式テレビ

なお、企業の事務所などで使用しているテレビでも、家庭用テレビであればリサイクルの対象です。

 

テレビを処分する方法

特定家庭用機器のテレビは、先に紹介したように自治体のごみ収集サービスを利用して処分することはできません。一部の自治体はテレビを収集していますが、これは住民の代行として回収拠点に運ぶサービスです。基本的に不要になったテレビは、以下に紹介する3つの方法で処分します。

 

家電店にテレビの処分を依頼

テレビを販売している家電店は、自店舗で販売した特定家庭用機器を回収する役割も果たしています。

・廃棄処分だけを希望する場合は購入店へ

不要になったテレビをシンプルに廃棄するだけであれば、そのテレビを購入したお店に回収を依頼しましょう。この際、収集運搬料金とリサイクル料金を負担する必要があります。収集運搬料金は店により違います。リサイクル料金は製品で決まっています。

・買い替えの場合は新しいテレビを購入する店へ

買い替えの場合は古いテレビの回収を新しいテレビを購入する店に依頼します。このほうが新旧テレビの受け渡しをスムーズに行えます。収集運搬料金とリサイクル料金を支払うことについては購入店に回収を依頼するときと同様です。

 

家電店に処分を依頼するメリット

家電店は日常生活に欠かせない存在ですから、利用に際し不安を感じる人などいないと思います。この安心感は家電店を利用する最大のメリットだと言えるでしょう。

 

家電店のデメリット

家電店を利用できるのは原則的にそのお店で購入した人のみです。誰もが利用できるわけではないことは、利用者にとってデメリットと言えるかもしれません。

このあとに紹介する不用品回収業者と比較すると、サービスのスピード感や柔軟性にも劣ります。

 

家電店を利用する場合の費用

家電店を利用する場合は、店ごとに異なる収集運搬料金と製品に定められているリサイクル料金を負担する必要があります。収集運搬料金の相場は1,000～3,000円程度です。

主要メーカーが製造するテレビのリサイクル料金は1,300～3,000円程度です。古いブラウン管テレビよりも液晶／有機EL／プラズマ式テレビのほうがリサイクル料金は高額です。

 

不用品回収業者にテレビの処分を依頼

あまりなじみがないという人もいらっしゃるかもしれませんが、一般家庭を対象に片付けに関するいろいろなサービスをおこなっている不用品回収業者にテレビの処分を依頼することができます。

すでに触れたとおり、すべての人が家電店を利用してテレビを処分できるわけではありません。基本的に「購入した履歴」がなければ回収を依頼できませんし、物理的に依頼できない場合もあります。不用品回収業者は、家電店を利用できない人が利用しやすい選択肢です。

地域でサービスを提供している業者をインターネットで検索して連絡してみましょう。家電店と同様に指定の場所まで回収に来てくれます。

 

不用品回収業者に処分を依頼するメリット

テレビの処分を不用品回収業者に依頼するメリットは複数あります。

・テレビ以外の不用品も処分できる

不用品回収業者は家電店のように特定家庭用機器の回収だけに特化した業者ではありません。家庭から排出される不用品ならなんでも回収することが可能です。

・回収日時を指定して処分できる

家電店も可能なかぎり予定を合わせてくれますが、不用品回収業者なら夜間や早朝などの時間帯でも指定することが可能です。

・即日の処分が可能

不用品回収業者は即日の見積もりや回収作業にも対応してくれます。

・不用品の買取が可能

再販できるものであれば、テレビを含めて不用品を買い取ってくれます。

 

不用品回収業者のデメリット

ときどき悪徳業者の問題がメディアに取り上げられることがあり、不用品回収業者の利用に不安を感じている人は少なくないと思います。家電店ほど身近な存在ではありませんから「安心感」という点ではやや物足りないかもしれません。

ただ、正しいステップで業者を選べば、悪徳業者の被害にあうことは避けられます。

地域を巡回しているトラックや「無料回収」をうたう投げ込みチラシの業者を利用してはいけません。

 

不用品回収業者を利用する場合の費用

不用品回収業者を利用してテレビを処分する場合、家電店と同様に収集運搬料金とリサイクル料金がかかります。全体の費用は家電店と同程度と考えておけばいいでしょう。

 

指定引取場所を利用してテレビを処分

もうひとつの選択肢が指定引取場所です。指定引取場所は全国にあり、おもに物流関係の企業の拠点がこの役割を務めています。地域で回収されたテレビなどの特定家庭用機器はいったん指定引取場所に集められ、その後、メーカーに戻されます。一般のユーザーがここに直接テレビを持ち込むことも可能です。

指定引取場所を利用する場合は自分でリサイクル料金額を調べて、事前に支払っておく必要があります。郵便局で家電リサイクル券を手に入れて、必要事項を記入してから窓口やATMでリサイクル料金を支払います。その後、家電リサイクル券のステッカー部分を貼り付けたテレビを近隣にある指定引取場所に搬入してください。

 

指定引取場所を利用するメリット

指定引取場所を利用する場合は自分でテレビを運ばなければならないのですが、その分、収集運搬料金が不要になるため処分費用を節約できます。ここで紹介する3つの方法のなかでもっとも安く済むのが指定引取場所を利用する方法です。

 

指定引取場所のデメリット

自分で持ち込まなければならないことがこの方法のデメリットです。持ち込みには車が必要ですし、事前に行うリサイクル料金の支払い手続きも面倒です。指定引取場所を利用するのであれば、これらが節約できる費用に見合ったものかどうか考える必要があるでしょう。

 

指定引取場所を利用する場合の費用

収集運搬料金を支払う必要がない分だけ安くテレビを処分できます。家電店や不用品回収業者よりも最大で2,000円程度、処分費用を安く抑えることが可能です。

 

テレビを売却や譲渡して処分

不要になったテレビはリサイクルすることが求められているとはいえ、正常に動作するテレビならばリサイクルではなくリユース（再利用）してもいいでしょう。

まだ比較的新しい製品（製造から5年程度まで）であれば、家電買取の専門店やリサイクルショップに査定を依頼してみましょう。

ネットオークションやアプリを利用して自分で売却相手を探す方法もあります。地域掲示板やフリーペーパーの「あげます」などのコーナーを活用して譲渡する方法もあります。

 

まとめ

テレビの処分方法を紹介しました。テレビを粗大ごみで処分することは不可能なので、状況に応じて「家電店」「不用品回収業者」「指定引取場所」のいずれかを利用しましょう。

不用品回収業者は特定家庭用機器の回収に特化した業者ではないので、テレビのほかにも処分したい家財があるときの利用におすすめです。再販可能な不用品を買い取ってもらえる可能性もあるので、このような不用品が多くあれば処分費用を大きく節約できます。